【連載】安藤・岩野の「これからこうなる!」 – 第20回「「ラブライブ!」の魅力ってなんだと思う?」
スクウェア・エニックス所属のゲームクリエイター・安藤武博氏と岩野弘明氏が「ラブライブ!」ならではの魅力について考察。
まず最初に「ラブライブ!」の魅力を客観的に考えてみました。
<アニメそのものの魅力>
・キャラ絵がかわいい ← でもこれは好みが分かれる
・魅力的なキャラクター性 ← これも好みが分かれる
・音楽がいい ← これも好みが分かれる
・お話が面白い ← これも好みが分かれる
・スクールアイドルという設定 ← アイドル+学園要素としてとても秀逸
・甲子園(ラブライブ)要素 ← 熱血要素として鉄板
<アニメの外側の魅力>
・キャラと声優のシンクロ ← 2.5次元的な魅力
・ユーザー参加型 ← ワシが育てた要素
・メディアミックスによる多面展開 ← 話題が途切れない
・途切れない曲のリリース ← 話題が途切れない
■キャラクター性に違和感!?王道のキャラクター
「ラブライブ!」初見時にあることに違和感を覚えました。それは「キャラクター性」です。
作中で矢沢にこというキャラが「にっこにっこにー」という決め台詞を度々口にするのですが、初見では「なんかちょっと今そのキャラは寒くないだろうか?」と感じました。星空凛というキャラも語尾が「にゃー」で「今更にゃー!?」という感想。
しかし、一期から二期、そして劇場版を視聴していく中で「やっぱりこういうのいいな…」と思ってまいりまして、スルメ的な感覚で「ラブライブ!」の中で好きなキャラTop3に、今やにこと凛が入っていたりするのでした。
アニメ視聴歴がわりと長い私のような人間が「ちょっと物足りない」と思うくらいの定番具合が、むしろちょうどいいんじゃないだろうかということなんです。定番ものはシンプルで人に伝えやすい、話題にしやすい。
■曲のリリース速度と物量
私が視聴したことのあるアイドルコンテンツについて、どのくらい曲をリリースしているのかを数えてみました。
・ラブライブ!:約193曲(2010年スタート)
・THE [email protected]:約176曲(2005年スタート)
・アイカツ!:約79曲(2012年スタート)
・アイドルマスターシンデレラガールズ:約60曲(2011年スタート)
・プリティーリズム レインボーライブ:約33曲(2013年スタート)
・プリパラ:約25曲(2014年スタート)
・プリティーリズム オーロラドリーム:約20曲(2011年スタート)
・Wake Up, Girls!:約16曲(2014年スタート)
ご覧の通り、曲数・リリース頻度ともに一番多く、特にリリース頻度は驚異的です。アニメやゲームといった「音」が非常に重要なプロジェクトの場合、曲の数、継続したリリースが成否に大きな影響を与えます。
またアイドルコンテンツはオフラインイベントが重要です。μ’sのメンバー内で3つにユニット分けて、少人数でも、イベントを行うこと自体がファンサービスになり話題を提供することになる。
■ここから学ぶこと
新しいことにチャレンジすることはもちろん大事なのですが、ちゃんと需要を把握し変えないところは変えない。それをおさえた上でちょっと新しい見せ方をしていく、といったバランス感を養い、忘れないことが大事です。
また、特にF2Pのゲームともなると運営開始からが本番。そのため、ゲームの内外問わず、継続して運営していけることをあらかじめ想定した体制、企画を用意しておく必要があります。
そして何よりユーザーとの関係性を大事にすることを忘れてはならない。
そんなことを、「ラブライブ!」を見て改めて強く思ったのでした。
アイマスは統合すると今は全部で500曲くらいあるんじゃないかなぁ(カバー曲は除く)